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Celesセレクトで『推し香水』を見つけたレポ

突然ですが、“#推し香水”をご存じでしょうか?

大好きなあの人・タレント・アイドルなどのイメージに合わせて調合・または購入する出来合いの香水のことで、「推し香水をまとうことで大好きなあの人をそばに感じられる💛」とひそかな人気を集めています。

www.celes-perfume.com

ひそかな人気を集めているんだそうです。そもそもオタクは”推し”の”概念”が大好き。香りというアプローチも特別感があるし……というわけでセレクトしてもらいました。

迷っているオタクがいれば絶対注文したほうがいい!と後押ししたかったのと、見せびらかす場が欲しかったので、ブログを書くことにしました。

※※※
このサービスはあくまで「好みやイメージ」に沿って香水を提案してもらうものであり、オタクが「そんなんいうならキャラクターイメージでもできるんやな⁉」と無茶ぶった、とあるケースについて書いています。
・版権グッズと競合するような香水を新たに調香してもらったわけではないこと

・2020年12月時点でのサービス内容・対応であること
など、諸々ご留意の上お読みください。
※※※

オーダーまで

きっかけ

サービスを知ったのはこちらの紹介がきっかけでした。

天井努は『アイドルマスターシャイニーカラーズ』に登場する、283プロダクション社長。CVやセリフはあり、なんと先のクリスマスでどデカい掘り下げが来てしまったようなのですが、立ち絵はシルエットのみです(なんで?)。
とはいえダンディで彫が深い40代芸能事務所社長なら香水くらいつけているでしょうし、””実在性””を高める手段として非常に正しいな~楽しそうだな~(自分には関係なし)と思っていました。この時点では。

氏のツイートの勢いにのまれ、この辺りから毎日「Celes 推し」「Celes セレクト」で毎日パブサをかけていたのですが、かなりオーダーを汲み、新しい解釈をもたらしてくれると好評の様子。またちょうどその時期に「Celesシネマ」という「あの映画のあのシーンイメージで……」のオーダーができるサービスが始まったことを知りました。「覚悟」という言葉が頭にチラつきました。

それほどオタクのKIMOCHIに寄り添ってくれるなら……というわけで、結局注文することにしました。

また今回利用したCelesさんは”推し香水”についてブログで取り上げていたこともあり、トンチキオーダーをしても受け止めてもらえる!という安心感があったのも大きいです。

www.celes-perfume.com

以前利用したところは口コミで「推しイメージで調香してもらえた」という情報こそあったものの、サイトには「何かをイメージしたオーダー」について一切書かれていなかったので……。
調香ではなくセレクトだったのも面白かった!イメソンにしろ、イメージ短歌にしろ、オタクはこういう再読解が大好きです。ブランドイメージや、どういうコレクションとして発表されたのかまで遡って考えたりできるしね。

念を押しておきますが、既存の作品やキャラクターのために調香してもらうものではなく、あくまで「こういうキャラクターのイメージの香水が欲しいんですが……」という相談にのってもらえるサービスです。

注文方法

www.celes-perfume.com

今回はこちらのサービスを利用しました。ムエットだけ/15プッシュ分(0.75ml)/50回プッシュ分(2.5ml)と選べるのもよかったです。「15mlのミニボトル、あなたの香りを見つけて……。」系だと普通にそれで年が越せるので……。推しにぴったりの香水を買う、というよりは、提案を受けて、気に入ればその中から購入する、というイメージ。
ただし、紙で嗅ぐのと肌の上で香るのとではだいぶ印象が変わるので、やっぱり少ない量でもボトルで取り寄せるのが良いかと思います。

記入するのは以下4点。

  • 女性/男性
  • お求めの香りのタイプ(甘い香り/爽やかな香り/温かみ・スパイシーな香り)
  • 好きな香り/嫌いな香り(香料:ベリー、梨など)
  • スタイリストへのメッセージ

セレクトの幅を狭めたくない場合は、性別や好きな香りのタイプを選ばなくてもオーダーできます。「”推し”は男性だけどオーダーするのは女性、だから女性でもつけやすいものにしてほしい……」みたいな場合も、その旨を書いておけば考慮してもらえると思います。

「スタイリストへのメッセージ」に何を書くか

結局ここが一番の悩みどころです。
この類のオーダーの場合、一番重要なのは「何をポイントに選んでほしいか?」なので、「キャラクターの葛藤」なら「葛藤」と、「第〇回公演の××のシーン、その時の表情」なら「表情」と率直に指定してお願いするのがわかりやすいと思います。
そこに至る文脈が複雑に込み入っている場合は、使いやすいキーアイテム、キャッチーなエピソードを併記すると、そこからいい塩梅に拾ってセレクトにつなげてくださる場合があります。
わたしは簡単なプロフィール、見た目の特徴のほか、性格や行動の指針などを書いてオーダーしました。

 

オーダー全文はこちら(読まなくていいです。クリックで開きます)  好きなゲームのキャラクターをイメージしたセレクトをお願いします。
〇ゲームタイトル:メギド72(公式サイトhttps://megido72.com/
メギド72は異世界「メギドラル」からの侵攻に、主人公と仲間たちで抵抗する物語です。主人公の仲間たちは元々「メギドラル」で暮らしていたものの、体制に反抗するなどの罪を犯して、「メギドラル」を魂だけで追放され、人間に転生した「追放メギド」です。体は人間ながら、メギドラル時代の記憶や知識を持っており、人間社会に馴染むことに困難さを抱えている「追放メギド」も数多いです。依頼したいキャラクターもその中の一人です。

〇キャラクター名:バラム
公式プロフィール:「不死者」と呼ばれる伝説的な存在。「調停者」とも呼ばれ、かつては追放メギド同士の争いや、追放メギドが人間に危害を加えた際に現れては仲裁に入り、時には実力行使で事件を解決していたという。人当たりも乗りもいいが本心は明かさず、今なお追放メギドと主人公を調停者として監視している。追放前のことはすべてが謎に包まれている。
金髪にバンダナを巻いた、軽装の10代の少年のように見えますが、実年齢(転生してから)は300歳を超えています。 メギドラルで暮らしていたころは金属の羽を持つ龍と人のキメラのような姿をしていました。風属性なので、さわやかな香りをイメージしています。 腹に一物抱えてはいるものの、性格に裏表があるわけではありません。実年齢は300歳を超えていますが、10代の主人公が「なんとなく気が合う」と評するほど、明るく気さくです。
MBTIでいうとENTP、議論やディベートを好み、軽口を交えながら、一貫した主張を忘れません。少し空回りがちなところがあります。コミックリリーフと場面整理のどちらも担うキャラクターです。 「追放メギド」たちの社会的立場の弱さを憂い、「追放メギド」たちによる独自のコミューンを構想し、その調整役を自認して暗躍しているのですが、人望がなく、またほかの「追放メギド」たちとの目線があっていないため、実現には至っていません。 ただ、主人公との出会いを通し、多様性や共生を少しずつ身に引き受けて考えられるようになり、実現可能な方法での「追放メギド」たちの社会的地位の確立を模索しています。現時点では、交渉の場で善良な主人公の思考が及ばない、相手の腹の中を探るような役割を担っています。
主人公との関係:主人公とはストーリー序盤から対立していましたが、お互いの目的とするところが共有可能なことに気づき、中盤で仲間になります。以降はリーダーとしての役割に身を尽くす主人公に対して少しずつ心を開いていきます。 自らを墓標にたとえたのに対して、バラムは自分をマジョラムに喩えていました(死者の幸福を願い墓前に供える風習からかと思われます)。もしなにかマジョラムをノートに使った香水があれば、ご紹介願いたいです。
直近のストーリーでは主人公に対しては自らの300年の孤独をこぼすようになっていきました。その場面のセリフを引用しておきます。
「戦争を繰り返して、繰り返して、繰り返してるとな、いつの間にかみんないなくなっちまう/誰もが「個」を貫き通すため妥協なく戦ってるはずなのにな、その結果に過ぎないのに――ふと自分だけになっちまったってわかったとき、胸が苦しいような気持ちになる。…(中略)…「泣きたく」なるんだ/誰もがいつか俺のもとを去る/誰もいなくなっちまう」
心の底に自分でも認識していない虚無感やさみしさを抱えたキャラクターです。 香りについてはあまり見地がないのですが、よろしくお願いいたします。

 

面白そうなので友達も誘い、Skypeをつなぎながらそれぞれ自分の好きなキャラクターや関係性への理解をしたためました。許可をもらったので、ブログの最後に紹介しようかなと思います。
ちなみに2020年11月当時だと、発送準備開始の連絡が決済6日後、手元に来たのがちょうど1週間後でした。

手元に届いてから

包装を開けると試香紙、ボトル5本のほか、Celesのスタイリストさんからのお手紙が入っていました。

太陽のような爽やかな笑顔が印象的な伝説の不死者。彼の心の奥には、誰も知り得ない壮大なストーリーと孤独が潜んでいる。己の運命を受け入れ戦い続ける、天に選ばれし寵児をイメージしたフレグランスとなっております。

天に選ばれし寵児?!
スタイリストさん去年のファミ通読んでくれたのかな?どうでもいいんですが週刊ファミ通ってどうしてある程度経つとkindleで買えなくなるんだろう……
わたしはバラムのことを素直に好きなキャラクターとは未だに呼べず、素直に認められるのは顔がかわいいというところだけなのですが、この文を読むと「スタイリストさんも……かわいいっておもってくれたのカナ?(^^;)」と勘違いしてしまう。
天に選ばれし寵児って考えたことなかった、むしろ風水が悪すぎると思ってたけど……8章3節を読むとやっぱり……etc. 頭がパンパンになってしまいました。
というかこの時点でもうかなり満足度が高いんですよね。オタクは自分の話を聞いてもらって、相手の言葉で言い換えてもらうのが、大好きだから……。

セレクト内容

というわけで、バラムに対する怪文書に基づき、今回セレクトしてもらったのがこの5種。

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5本で1つの像を描く……というよりは、複数の側面、”解釈”を提示していただいたように感じました。ここからは一本ずつレビューと解釈を書いていきたいと思います。

Acqua Di Parma - Arancia di Capri

1916年イタリアのパルマで天然香料だけを使用し創られたメゾンブランド。シチリア産マンダリンオレンジ・ベルガモット・レモンが奏でるさわやかな香り。ラストのキャラメルがオレンジの甘さを引き立てカプリ島の太陽を想起させる。

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オレンジやレモンの皮を剥いだときのような、あの華やかでさわやかな香りがトップに立ちます。みずみずしくていいのですが、ちょっと食器用洗剤のようなわざとらしさに感じられないこともない。時間が経ち馴染んでくると、落ち着いた甘い香りに転じますが、こもったような嫌みなムスクではなく、フルーツティーやコンポートを作る時のように果汁の甘さが先に来ます。肌の近くで香り、長時間は持続しないことも含め、人や場を選ばずに使えそうです。

これはメギドを6章くらいまでパーッと読んだ時の、軽薄で身軽な第一印象にぴったりだと思いました。トップのやりすぎなほど「さわやか!!」なシトラスは、シルム低地での初登場シーンでの表示名、「陽気な男」の印象にぴったりです。「青の洞窟」をイメージしたのであろう美しいボトルも、出会いの直前、ソロモンたちが鉄砲水に遭ったことを思い起こさせます。

ところでオレンジと聞くと「tu eres mi media naranja」を思い出しますね。追放メギドという存在には二体一身性(この場合は一体二身性?)を彷彿とさせられます。そこまで汲んでくださったのかは不明ですが……。

Hermes - Terre d’Hermes eau très fraiche

「あなたの背中に横たわって、天の目を見て、地球を感じなさい。」ジャン・クロード・エレナ
地球と空の間の水。 エネルギーと詩の旅。 木、植物、ミネラルを表現したシトラスアクアティックノートを経て、重厚感のあるウッディの香りへ。

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パッと華やぐシトラスからシダー系に落ち着くタイプで、よくある展開といえばそうなのですが、すべての瞬間に気が利いてるな〜という感じ。シトラスもぼんやりせず搾りたてのようにツンと香り立っています。
この手の香水の割にはシトラスの香りがすぐ飛んでいかないのがいいですね。大地から根が吸い上げ、葉から空気に還る『水』の循環をイメージしているとのことで、とにかく爽やかで軽い。肌への香りの残り方がかなり独特だなという印象なので、ムエットでなく少量でもボトルで試したほうがいいと思います。
無印の方に対して、妙齢男性がつけているタバコまじりのくすんだ香り……というイメージが強かったので、品名を見たときはブルったのですが、同シリーズでも全然違いました。いや無印のほうもそんなに濁ったにおいじゃないのかもしれませんが……

Arancia di Capriが結構爽やかで前向きで若々しい一本だったので、こちらはかなり地に足着いた香りが来たなと感じました。エルメスだし。不死者とか300歳超えとか書いた部分を反映してくださったのかな。ちょっと貫禄と落ち着きが出てからくらいのほうが似合う香りだと思います。
廃番なのか何なのか、どうもエルメス公式のページがが死んでいるようなのですが、説明書きには

自由で力強い、真のエネルギーである水が中心となった香り。

とあり、フォトンの循環や、このところメインストーリーで幾度となく繰り返される「大きな流れ」の話を思わせるフレーバーテキストです。
ミネラルとか「循環」とかいうてもねえ……と半笑いだったのですが、嗅いだ瞬間『理解』しました。その要素は何なんだろうな……あまり詳しくないのですが、冷たく尾を引くような印象が「調停者」の貫禄あっていいんじゃないでしょうか。

Aesop - Hwyl
濃密な霧の合間から姿を現した静寂と新緑に満ちた日本古代の森林。自然の中に存在する渇望が生命体の間を行き来する概念を表現した香りです。ずっしり重力を感じるスモーキーノートから始まり、サイプレス、フランキンセンス、ベチバーなど新緑のテクスチャーへと移り変わります。

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新鮮なサイプレスからくる古い森の朝のような香りは、深く重く印象付き、背筋が伸びる気すらします。静かな寺院や大きなお屋敷の感じにも似ている。朝の身だしなみによく似合いそうです。なにかスパイスめいたにおいもチラチラ混じるものの、最後があまり重ったるく残らないところが気に入りました。
もともとAesopには興味があったのですが、こういう瞬間の切り取り方をするんだ……とかなり好印象を抱きました。奇をてらった「和の香り」系ともまた異なる普遍的な重み、それでいてやっぱり懐かしい香りです。Terre d’Hermes eau très fraicheと系統は近いのですが、コンセプトが異なる分、印象は大きく違いました。

サイプレスを大きく「糸杉」の枠で見れば、クリスマスツリーやキリストの十字架、ゴッホの星月夜など、モチーフとして数々に使われています。学名のCupressus sempervirensは「常緑」から転じて「いつも活気がある」という意味合いを持ちます。このあたりを長い寿命と絡めて読解してくださったのかな。
ちょうどカウントダウンで「微風の重盾」のフレーバーテキストに沸き立っていたころだったので、森/樹/風を感じさせるセレクトがほんとうに嬉しかったことをよくよく覚えています。

TOBALI - Water Reflection

「華麗に秘める孤独」ジェンダーという境界を越え、女性視点で描いた理想の男性の表現。「華麗」なクチナシの花の奏でる甘さ、舞い踊るみずみずしい柑橘の雫。時と共に徐々に訪れる「孤独」の墨の陰影にグリーンティーとアイリスが重なる。清らかな水鏡に映り込んだ遠い過去の儚い記憶のように切なく甘美な香り。

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じゅわ~っと瑞々しいクチナシの香りが、遠くからでも甘く深く感じます。熟れた果実のような華やかな印象です。吹き付けたときにスッと急にシトラスが立つのがとても意外だったのですが、特に嫌みのある感じではありません。口コミで多く言及されていたティー系の香りはわたしはあまり感じませんでした。
かなり時間が経ったときに、黒檀っぽいやわらかくひとごこちつくような香りが残るのですが、なるほど、付けたての印象とは大きく離れた「二面性」ってこういうことか~と切ないというフレーバーテキストの適切さに唸りました。

Water Reflectionというタイトルがいいですよね。

L'artisan Parfumeur - Un Air De Bretagne

ブルターニュの風」という名のこの香水は大西洋の波しぶき、砂丘に咲く逞しい花、月明かり、島々の緑を育む雨といったブルターニュ地方の多彩な風景をイメージしたウッディアロマです。太陽や月光を思わせる華やかなネロリと絡み合うミネラルの香り。やがて、アンバーグリスとサイプレスがカロンブレンドされ、波しぶきを生み出すマリンノートの余韻を残します。

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ブルターニュ地方というのはフランスの北西部の半島地域で、塩や海藻やその美しい街並みが有名ですね。オーダー文では72節のセリフを引用こそすれ、舞台となった牙の内海には特に触れなかったのですが、ひょっとすると調べてくださったのかな……。
トップは瑞々しく華やかでマリン系らしいのですが、総合するとかなり落ち着いた香りの印象です。パフュームというよりはルームフレグランスに多い香りのような気もします。これのバスソルトが欲しい。甘さ・重たさは少々あるものの、しつこくはなく、時間が経つと近く深く香るようなイメージです。天野月子の曲っぽい。

アンバーグリスはマッコウクジラの腸内にできる結石を指すようです。日本語では竜涎香と書くそうで、ここから拾ってくださったのかもしれません。

牙の内海に対しては本編の戦争の印象が強すぎて、鉄臭さ・生臭さと紐づけていたのですが、ジニマルやサルガタナスのことを考えて、戦争を終えてまたこの深い海と海藻と波の香りに還っていくのかな……とか考えました。その大きな流れに飲み込まれていったアッキピテルは、バラムにとってはメギドラル時代を象徴する存在であって、己の一部と言っても過言ではないんだよな……。

 

全体的に「大地・海・空の大きな流れ」的なコンセプトの香水が多く、メインストーリー8章の、それぞれの抱えた背景が大きな一つの流れに合流していく作りを彷彿とさせられました。TOBALIやL'artisan Parfumeurは、自分では絶対にそこに見出してセレクトしないだろうし、与えてくれた切り口もかなり新鮮なものでした。すごい同人誌読んだ時のような満足感があります。

あまり香水に詳しくない、と書いたからか、かなりジャンルの異なるものを選んでくださったのが楽しかったです!かなりオーダーを丁寧に掬ってくださるようなので、率直に書くのが良いと思います。

違うキャラクターに対して同じ香水をセレクトしてもらっていた友人もいましたが、文脈を読み替えるとどちらにもぴったりじゃん!みたいなひらめきがすごく楽しいので、ぜひ親しい誰かと一緒に『推し香水会』やると良いと思います。

最後におまけとして、友人のオーダー文とセレクトしてもらった香水を載せておきます。こちらもかなり作品の世界観にぴったりで、嗅ぎながら読みなおしたいレベルでした。

友人のオーダー:『宝石の国』フォスフォフィライト

スタイリストへのメッセージ

 

宝石の国」という漫画に出てくるフォスフォフィライトというキャラクターをイメージした香水をお願いしたいです。(クリックで全文)
フォスフォフィライトは薄荷色の宝石。性格は天真爛漫で前向き、末っ子気質の宝石です。しかし、低硬度で不器用なため宝石たちが住む星をたびたび襲撃する月人たちとの戦闘や工芸などの仕事にも向いていません。自分にできることを求めて他の宝石たちの仕事の様子をうらやましく見ています。

○宝石たちの生活
宝石たちは金剛先生と呼ばれる存在の保護のもと、先生と生徒という関係性で一つの星での生活をしています。

○シンシャとの関係性
人一倍「誰かの力になりたい」という強い思いを持っている彼はある時、”シンシャ”という宝石に出会います。彼は銀色の毒液を常に放出しており、その毒液に他の宝石が触れると光を通さなくなってしまう(宝石たちの活動源は光)ため、他の宝石たちが休んでいる夜のみ活動をしています。孤独感と月人にすら狙われないその危険な体質にさいなまれているシンシャに月人の襲撃から救われたフォスフォフィライトは彼に「夜の見回りよりもずっと楽しくて君にしかできない仕事を僕が必ず見つけて見せる」と約束をします。

○フォスフォフィライトの”成長”
フォスフォフィライトはその低硬度から月人の襲撃により多くの体の部位を奪われては補填する、ということを繰り返しています。両脚は貝殻から抽出したアゲートを、両腕は合金、ついには頭を奪われ昏睡状態の仲間であるラピスラズリの頭を補填します。もはや別人のようになってしまったフォスフォフィライトですが、「誰かの力になりたい」という思いはずっと持ったままです。目の前で仲間が次々と月人に連れ去られていく中、何が最善かを自問自答し続けます。そんな中、ついにフォスフォフィライトは月に連れ去られてしまいます。

○月で知る真実
月に連れ去られてからフォスフォフィライトは月人、宝石ともに救われるには、ともに過ごしてきた師である金剛先生に「祈って」もらうことが必要であることを知ります。彼は月人に導かれて星に戻り金剛を説得することを決めます。 星に戻ったフォスフォフィライトが見るのは彼を撃退しようとするかつての仲間たちと孤独にさいなまれていたはずのシンシャでした。

○フォスフォフィライトの好きなところ
自分だけがシンシャを救える唯一の存在だと思い、仲間を守ろうと奔走しますが自分がいなくてもシンシャは他の宝石との関係を築き始めてしまう、挙句の果てには迎え撃たれてしまう、これらの事実がフォスフォフィライトの報われなさを表していると思います。フォスフォフィライトの行動原理は一貫して「誰かの力になりたい」という純粋な善意なのですが、これをもとに成長を繰り返して繰り返してだんだんと、シームレスに他の仲間たちの軸から外れて行ってしまうところが作品を通じて好きな点です。漫画を読み進め、必死にみんなを救おうと痛々しさすら感じる頑張りを見せるフォスフォフィライトを見るたびに初期の仲間たちから可愛がられていた無邪気な彼を思い出し、無常とやるせなさを感じてしまいます。

 

セレクト内容

誰かのために命を燃やせる、無邪気で純真な心を持つ、フォスフォフィライト。
彼の切なくも美しい生き方を賛美するように、流麗なる香りをお選びしております。気に入っていただけますと幸いです。

 

  • Byredo – Rose of No Man’s Land

第一次世界大戦中「無人地帯」である最前線に赴いた「薔薇」と兵士たちに呼ばれた赤十字従軍看護婦の活動を称え、彼女たちへの敬意を込め制作されたコレクション。肌を繊細に包み込み、心に深い安らぎをもたらす香り。力強さ、繊細さ、爽やかさ、深みのある香りの流れが荒野に立つ薔薇の気高さを表現しています。

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  • Dawn Spencer Hurwitz – La Nouvelle Lune

フランスの作曲家、ドビュッシーの名曲「月の光」より着想を得た月光に照らされた桜の花びらが風に舞う、儚く神秘的な情景をイメージした香り。金木犀をキーとし、ネロリと桜、ジャスミンライスを炊いたようなエキゾチックな香りも重なる。エアリーでフルーティーなフローラル。

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  • Santa Maria Novella – Angels of Florence

1221年フィレンツェに移住してきたドミニコ会修道院サンタ・マリア・フラ・レ・ヴィニェによる世界最古の薬局、サンタマリノヴェッラより、ホワイトフローラルをベースに桃やメロン、プラムなどのフルーティーな印象が加わった40年前のフローレンスで起きた大洪水の記念日に販売がスタートされた香水です。

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  • J-Scent – Hisui

エメラルド色に輝く東洋の宝石、ヒスイ。その美しく神秘的な色彩を解釈した香りはマンダリンやベルガモット、カシスのグリーンなインパクトから始まり、ホワイトフローラルとムスクによる滑らかさが重なり合う。ラストはアンバーやパチョリ、オークモスでセンシュアルな重厚感を。多面的な輝きを捉えた香りのジュエリー。

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香りは記憶の力の探検家。ジェンダーや年齢から解き放たれ、ミネラルアロマという新領域を切り拓いた香り。16~17世紀からローマ周辺のひな壇状庭園で育てられていたローマン カモミールのみずみずしいハーブ調の香りに、夜に魅惑的な香気を放つことで知られるインディアン ナイト ジャスミンブレンド。そこへムスクが深みをもたらし、シダーウッドとサンダルウッドが全体を引き締めます。

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